ツールドおきなわ市民210を終えて
究極の戦いが終わった。
圧倒的な敗北。
悔しいと思って良いかのか分からないくらい力の差を見せつけられた。王者高岡さんとの勝負の土俵にすら上がれなかった。
王者を同じ人間と思ったのがそもそもの間違いだった。
自分が沖縄を意識し始めたのが2012年頃。
その頃から高岡さんは王者として君臨し続けている。今年も他を寄せ付けない、まさしく王者の走りで全員を粉砕してしまった。
粉々に。
バラバラに。
そんな王者を自分の物差しで測ってはいけなかった。
今年の思いだけ忘れないように書き留めておきたい。
今年はメンタルの不調から自転車どころか日常生活に支障をきたすほど調子を崩してしまった。そんな中、無理やり参加した6月のニセコクラシックで完全に心が砕けてしまい、沖縄は絶望的な状況に。今は落ち着いているが、完全に回復したかどうかは怪しい。またいつかバキッと割れてしまわないかヒヤヒヤしている。
心が壊れた時は自分自身に価値を見出せない精神状態に陥ってしまい、絶望的にやる気が起きなくなった。何をしようにも「やっても無駄だよ、無意味だよ。」と悪魔の囁きが常につきまとった。
心の風邪?
身体は鉛のように重くなった。
社会生活を送るにあたり、しばらくの間は無気力な自分を隠すことで精一杯。この時期は本当に辛かった。何に対しても興味が湧かなくなり、あれだけ楽しかったはずの自転車にさえ一切興味を持つことが出来なくなった。自分は一体全体どうしてしまったのだろうかと、ただただ戸惑うばかりだった。
人間として電池切れ。
充電方法は一切分からず。
ケーブルを挿せば充電できるスマホを羨ましく思った。
そんな状況から何とか抜け出せたのは仲間の存在があったからに他ならない。
「お前なら出来る」
「お前ならやれる」
「俺達が協力してやる」
五郎さんはじめ、伊織さん、チャリダーの林ディレクター、練習のコーディネートをしてくれる吉田さんなど絶対的に信頼する仲間から、ポジティブな言葉を何度も何度も掛けられると、もしかしたら自分に出来るかもしれないと、少しずつ少しずつ前向きに考えられるようになっていった。心が充電され始めた気がした。
誰からでも良いわけではなく、心から信頼出来る人からもらう言葉には大きな力があり、大いに励まされた。
ここで逃げたら、
ここで踏ん張らなかったら
一生後悔するかもしれない。
自分を信じてくれる人の言葉は裏切りたくないし、もうこれ以上自分を嫌いになりたくない。
そう思うと心に火がつき、ひたすらにトレーニングに打ち込むことが出来るようになった。
とにかく弱い自分を破壊したかった。
もう弱い自分は懲り懲り。見たくない。
そんな自分ならぶッ壊してしまえ。
不健全な動機かもしれないが、強くなれるなら何でも良い。むしろ負の感情のほうが強い原動力になる。自転車乗りは自罰的な性格の人が多いらしいが、どうやら自分もその類の人間のようだ。
そして迎えたツールドおきなわ市民210km。
ここからはチャリダーの放送が終わったら、また書くかもしれません。